日々… [7/27/22:56]
2011年 07月 27日
中野で育ったあたしにとって、身のまわりの自然というのは、駐車場や空き地の草、児童公園・学校の植え込み、墓地の端っこの草叢くらいなものだった。だから、手入れのされていない林や川、雑草だらけの空き地はどこか落ち着かない場所だった。三宅島であしたばの草叢に案内されたとき、ほんとうにおどろいた。自生する自然とは、こんなにも明るく温かいのか。ここが「あたしの庭」と思ってしまえるほど、あしたばの緑彩も、点在する灌木の葉が作りだす木陰のゆらめきも、あたしは気にいってしまった。
みんながあしたば摘みをしているあいだ、あたしはぼんやりと草叢を歩きまわる。鳥の声が聞こえる。名前を知らない鳥。踏みしめた木の枝やあしたばの茎が、音を立てて折れていく。みんなの背中に、葉型の影が揺れている。
2度目に三宅島へ行った日の朝、あたしはひとりでまっ先に「そこ」へ向かった。とても背の高いあしたばの群れを踏み、奥の平地へとすすむ。わくわくする気持ちと、落ち着いた気持ちがいっしょにやってきて、あたしはおもわず目をつむった。(鳥の声……)
「ただいま、あたしの庭。ただいま、あしたばの庭。」
(place―<38K日記>あしたばの草叢)
by riz-blank | 2011-07-27 23:09 | 日々…